しーちゃんへ 結局、お別れも言えんままやったけん 手紙書くことにしました。 私のことはみんなから色々聞いたと思います。 しーちゃんのものを勝手にとって、ごめんなさい。 悪いこととはわかっとったよ。 でも、私なりの理由もあった。 しーちゃんなら、わかってくれるよね? 新しい学校では今、合唱コンクールの練習をしています。 明るい曲は嫌い。 みんなで声を揃えて歌うのも気待ち悪い。 それでも毎日きちんと練習に参加しています。 ニコニコ笑って、控えめに受け答えします。 ねえ、しーちゃん。 嘘って音楽みたいやと思わん? 美しい旋律より、 派手な演奏より、 空白に一番意味がある。 私、人は空白に騙されるんやと思う。 しーちゃん、私の嘘は完璧やったかな。 何故かしーちゃんにはずっと騙されとって欲しかった。 うっとり騙されとるしーちゃんは 綺麗やったよ。 純粋で、ひんやりと、氷みたいに透き通って。 できればそのままでおってね。 割れ物のまま、危うい大人になってね。 最後やけん、しーちゃんに本当のことを言わなやね。 たくさん嘘をついてしまったけど、これだけはほんと、信じてね。 私、しーちゃんのことが 大嫌いやったよ。  バイバイ。 飛鳥より