東の野に 陽炎の立つ見えて ひとり―― かえりみる 己の姿 その長き影よ 陽の出 暗きものども掃われて ふたり―― 貴女の 差し伸べるその御手の 何処へ誘う 遠くへ 遠くへ さは——この命の果たせるまで 彼方へ 彼方へ 聞け——いつか来る全てうたうもの ——よろづのことのはを。 はるかはるかとおき野には 未だ容知らぬものが 暗き夜に潜むものが 数多数多棲まうという 相互い分かたれぬもの 未だその名を持たぬもの その始幻想へと いつかこの手届くのか 何もが そこより—— いさよいさよふ波の行方 何処も知らぬ雲の狭間 絶えず流るる水の輪郭 そは、幻 幾多の朝を迎えるように 己が影の溶けゆくように あれなるものと混じ淆るように そは、幻 何より そこへと—— あらたな次代のうた——その命の尽きせぬまま 終わらぬ覚悟を持て——いつか来る全て記すこと ——よろづのことのはに。 己の命を奉げて その名を重ね繰り返し その始幻想へと 辿りつくことの叶えば そのときその身をなんと呼ぶ 人の身を纏う幻 何よりも耀るき場所で その手を影に翳して 何もが そこへと——