君のまぶたに描こう(えがこう) 僕がいつか見た空を そっと そっと 想ってたんだ ずっと ずっと 壊(こわ)したかった 夏の亡霊(ぼうれい)が追いかけてくる 死の臭いの季節(きせつ) 蝉(せみ)の叫び声(さけびこえ) 補声機を使って喋るコンピュータおじいちゃん 仏壇(ぶつだん)に供えられた鯛の砂糖菓子 碁盤状にゃ並んだ室外機の音と はしいでいる子供 その頭上(ずじょう)を いま巨大な飛行船が通り過ぎていった ブルーシートの海を泳ぐ飛行船の影 空は僕らを閉じ込めて まるで僕らを逃したくないみたいだ 痛いなあ きっと僕らはこのままだ それならば 終わりはどこにあるの 寝そべる公園のベンチ 逆転する(ぎゃくてんする)天地 上下さかさまの麒麟児(きりんじ)の広告塔 歩道橋の向こう団地一階のプチ商店街で プチ少年少女がプチ資本主義ごっこ 浜村淳のラジオの途中で 「スジャータ」が午後一時をお知らせした頃 碁盤状(ごばんじょう)に並んだ室外機の音と はしゃいでいる子供 その頭上を いま巨大な飛行船が通り過ぎていった ブルーシートの海を泳ぐ飛行船の影 色をなくした街 でそれだけが鮮明に わたしを焦がした 広すぎる空 昔友達と観に行った映画 結末が重すぎてふたりともランチはほとんど残した この街は あの日のまま何も変わらない 彼女の名前は もう忘れてしまった 君がまぶたに映した 僕が知らなかった色を そっと そっと 想ってたんだ ずっと ずっと 優しくない世界で 優しい言葉を 探しては 何度傷つくんだろう 垣根のある空に 終わりないものを求めては 何度繰り返すんだろう さよなら 新しい朝 さよなら 僕がいなくても 続いていく長い終わりというイマ (空を分かつ~空を分かつ~) あの夏の不味さを 二人を永遠に分かったまま 変わらせず ずっと 今のそこにある (空を分かつ~空を分かつ~) 君のまぶたに描こう 僕がいつか見た空を そっと そっと 想ってたんだ ずっと ずっと 壊したかった