見上ぐれば 春風に 舞ひ上げられし 櫻の花 捕まえし 薄紅は 囁くやうな 貴女の色 かうして待つ日々を 重ね過ぐ一年 貴女は何時の日か 來るのでせう? 皐月 葉月 過ぎて 長月 霜月 と 廻る季節の中で貴女を想ふ あの日の約束を まだ覺えてますか? 私はかうして今日も 待つてゐます 焦がれ 溢るる 想ひ(いろ) 寄り添ふ 櫻に乘せ―― 見下ろせば 春雨に 縫ひ附けられし 櫻の花 張り附いた 紅は 焦がるるやうな 私の色 思ひ出したやうに 狂ひ咲く緋の花 貴女を待つ色が 見えるでせう? 睦月 卯月 過ぎて 水無月 神無月(かむなづき) 廻る季節を見送り 貴女を待つ 貴女の微笑みに もう一度會ふ日を 私はかうしてずつと 待つてゐます 遠い約束 きつと 果たせるその時まで......