鈍色の蛹を両手で暖めて 美しい羽が脈打つ 孵る日なんて来ないと 笑われていた 「私と同じように価値もない」 耳をすませば 聴こえる羽音が どこまでも飛べると 信じさせてくれた さぁ その瞳で確かめて 時計は動き出す 機械仕掛けの神がいるなら 私の心臓が 二度と錆びないように その永久機関へと閉じ込めて 夢を語れば 言葉の矢に射られ 名前のない蝶は 何者になればいいの そう 全ては灰になる いつか針は止まる 冷たい土の中で眠るの 私の存在が 消えてしまう前に この歌を残していきたいだけ 空白のページに 書き綴る想いを 居場所さえ失った少女 私の旋律が 歪んでいく前に ひとつでも伝えて逝きたいだけ