工作人员A:Blue/Zeal凱旋公演「Fly High」、チケットは全て完売となっております。 工作人员B:なるべく前に詰めてお並びくださいー。 四列、四列でお願いします。 工作人员C:チケット拝見します。 最上静香:...はい。 工作人员C:はい、OKです。 最上静香:ありがとうございます。 ロックバンドのライブなんて、初めて来たけど、こんなに混んでるんだ。 奇抜のファッションの人も多いし... 痛っ...すみません! 茱莉亚:Are you ready? OK!We are Blue/Zeal! 工作人员A:駅方面への道は大変混み合っております。 なお、東口へは地下道のご利用をご検討ください! 路人A:あ、泣きすぎてやばい。 生で見れて本当良かったよ。 超カッコよかったよね!次のライブも絶対いくし。 最上静香:ックバンドのライブって、本当に熱気が凄いだ。 覚悟はしたけど、まだドキドキしてる。 ジュリアさんと話したり出来ないかな? ...この扉の奥かな? 関係者以外立ち入り禁止。 知り合いだって言ったら通してもらったり... 警备员:きみ、ファンの子?だめだよ、こんなところまで入ってきちゃ... 最上静香:すみません!でも、あの、私... 北上丽花:最上...静香ちゃん? 最上静香:へ?そ、そうです...けど。 北上丽花:は〜来てくれたのね!良かった〜。 ジュリア、とても喜ぶじゃないかな。 最上静香:あなたは? 北上丽花:警備員さん、この人はジュリアのお客さんだから大丈夫です。 さ、一緒に来て、静香ちゃん。楽屋に案内するね。 茱莉亚:レイ、どこほつき歩いてたんだよ〜。乾杯しよと思って待ってたんだぞ。 北上丽花:ごめんなさい。でも、お土産に静香ちゃんを連れて来たあげました! 茱莉亚:は?わぁっ、静香?来たのか? 最上静香:うん...来ちゃいけませんでしたか? 茱莉亚:そんなこと言ってないだろう。 そうか〜来てくれたのか〜 よし!いいか、帰るなよ。そこのソファーでちょっと待ってて。 最上静香:いいですけど...ちょっと、どこへ行くんですか? 茱莉亚:付き合い、すぐ戻るから。 最上静香:もう〜 茱莉亚:はー。あいつら、久しぶりに会うなり人の事をおもちゃにしやがって... 最上静香:日を改めてくればよかったです。 茱莉亚:なんで? 最上静香:お邪魔しちゃったのかなって。 何だか、楽しそうですし... 茱莉亚:冗談!私は今日、あんたが来てくれた事が最高に嬉しいよ。 まあ、来てくれなくても、こっちから行ったけどな〜。 ライブ、見てくれた? 最上静香:はい。 茱莉亚:揺さぶられた? 最上静香:...はい。 茱莉亚:はは...やけに素直だな。 最上静香:本当の事ですから。 ただ... 茱莉亚:うん? 最上静香:この楽譜の曲、お姉ちゃんの曲をやらないですか? 茱莉亚:チハの曲? あ、おーい...これ... 最上静香:お姉ちゃんの部屋で見つけました。 茱莉亚:はあ...そうか... あんたが見つけたのか... 懐かしいな、チハの字だ。 最上静香:この曲が聴けるのかと思って来たんです。 もう今は演奏してないですか? 茱莉亚:してない。 した事ないんだよ。未完成なんだ。 最上静香:えっ?どうして? 茱莉亚:初めて歌うはずだった日に、チハがいなくなったから。 この曲はチハと二人で作った。 私のギターに合わせて、チハがピアノを弾いてさ。 最上静香:はい。楽譜からお姉ちゃんのピアノが聴こえてくるみたいでした。 今はジュリアさんのギターも...あと、歌声も... 茱莉亚:そう。ほかには? 最上静香:へ? 茱莉亚:聴こえてきたんだろう、自分の歌声が... チハがいなくなってから、この曲を誰と歌えばいいのか、迷ってた。 けど今もう、こころが決まってる。 静香、あんた以外と歌う気はない。 最上静香:...あの、どうして? 茱莉亚:私はこの曲を完成させる歌声をずっと探してた。 オーディションのデモ音源も沢山聴いた、ライブハウスにも聴きに行った。 探し疲れて、諦めた事もあった。 でも、気が付けば、耳に飛び込んでる音に、いつも歌声を探してた。 の時、私は出会ったんだ。 チハが残したリハの音源の中に混ざってたんだよ。 プライベートの録音データ、 中学生くらいの女の子がピアノに合わせて歌ってるだけの、記念写真みたいな録音データ。 多分、間違えしまったんだろうなぁ。 でもそれがチハのピアノに合わせてこの曲を歌う、あんたの歌声だった。 最上静香:はっ...あの時の... 茱莉亚:聴いた瞬間分かったよ。 目が覚めた、全部が繋がった。 私はずっと間違ってたんだ。 ふっ、チハに騙されたんだかもな。 これは、私とチハで歌う曲じゃない。 静香...私と、あんたの曲だ。 もうじっとしていられなかった。 次の日にはあっちこっち電話を掛けまくって、予定を全部キャンセルした。 全てを放り投げても行かなきゃいけないと思った。 静香、あんたを手に入れるために。 最上静香:うっ...あの、どうして...どうしてそんなに拘るんですか? 茱莉亚:何に?音楽に?この曲に?あんたに? 最上静香:全部です。 茱莉亚:全部? なんでかな...まあ、理由なんてないさ。 最上静香:そんなの... 茱莉亚:飛びたいだけなんだ。 私は飛びたい、どこまでも飛んでみたい。 鳥が空を飛ぶのに、理由がいるのか? あんたが自分で飛びたいって願う事に、理由があるのか? 最上静香:はっ...私、歌が勉強した事ありません。 茱莉亚:知ってる。 最上静香:基礎も何もないし、素人ですよ。 茱莉亚:教えるさ。 最上静香:本当に...いいですか? 茱莉亚:大歓迎。 最上静香:もう、どうなっても、知りませんからね! 茱莉亚:あんたこそ、覚悟はしてくれよな... もう、放さないから。