伊吹翼:絶対間違いないで、あの赤い髪の人、ジュリアーノだよ! 最上静香:ん... 伊吹ほら!この雑誌にも出てるでしょう。 天才ギターリストで、音楽プロデュサーで、 ロックバンド「Blue/Zeal」のリーダー兼ギターリスト兼ボーカリスト! 三年くらい前イギリスでデビューした、だけど、向こうでは超有名なの〜。 で、最近日本に帰ってきて、もうすぐ凱旋ライブやるだって。 最上静香:で、名前、ジュリアって書いてあるけど...ジュリアーノじゃなくてね。 伊吹翼:うん、ジュリアだよ。ジュリアーノはあ•だ•な。 最上静香:そ...そう...そのジュリアさんがなんで私に声を掛けてきたんだ? 伊吹翼:れは分かんないけど、 ネット情報によるとジュリアーノで、この辺り出身っぽいだ〜。 実は近くに住んでるかもん〜。出身校とか、どこか同じだったりして! 最上静香:まぁ...どこ出身でもいいけど... 昨日のも多分何かの間違いだと思うし、もう会うこともないじゃないかな。 伊吹翼:もう〜こんな運命的な出会いなのに、なんで静香はドキドキしないの? 最上静香:なんで翼が盛り上がってるのよ? 茱莉亚:見つけた。 クラスを聞き出すのは苦労したよ。 いつもこいつも人の顔を見て逃げ回りやがって、 私は怪物かっつうの。 最上静香:あなた? 伊吹翼:やっばりジュリアーノだ。 ね、Blue/Zealのジュリアさんですよね!握手してください! あとサインを...ついでにハグも〜 最上静香:ちょっと、翼! 茱莉亚:おっと、ごめんね、子猫ちゃん。今はプライベートなんだ。 これからも応援よろしく...チュウ... 伊吹翼:キャー〜ジュリアーノ〜 最上静香:えー? 茱莉亚:用があるのはあんたにだ、最上静香。 最上静香:ま...また? 茱莉亚:返事、考えておいてくれたか? 最上静香:へ...返事って... 茱莉亚:あんた、私と一緒に歌わない? 最上静香:本気だったんですか?あれ。 茱莉亚:本気の本気、大真面目さ。 とは、ここで口説くのもなんだな...場所を変えるか。 最上静香:くど...変えるってどこへ? 茱莉亚:駅前に出れば店があるだろう。ゆっくり話せるところ。 ほら、行くぞ。 最上静香:ちょっと、待ってください。 行けません、まだ授業があるし、あなたは誰なのかだって... 茱莉亚:さっきそこの子猫ちゃんが説明くれた通りだよ。 私はジュリア、ミュージシャン。 とは...だいたいそこの雑誌に書いてある。 っつか、見てたよなぁ。 ね。他に何を自己紹介すればいい? 誕生日?血液型?好みのタイプ? 最上静香:そう言う事じゃなくて... 茱莉亚:你あたんなのはね...千早を知ってる... これでいいか? 最上静香:ちはや...お姉ちゃん。 何でお姉ちゃんのこと... 伊吹翼:あの〜 最上静香、茱莉亚:はぁ? 伊吹翼:午後の授業で自習だから、静香、ジュリアさんと一緒に行ってきなよ。 なんか積もる話とかありそうだし。 おう、帰りのホームルームは、私が誤魔化しておいてあげる。 茱莉亚:決まりだな〜。サンキュー、子猫ちゃん。 伊吹翼:えへへ、どういたしましてっ。 最上静香:ちょ...ちょっと、翼! 待て...いたっ... ジュリアさん、そんな引っ張らないで...行きます、行きますから... もう聴こえないですか... 店员:お待たせいたしました。クリームソーダとコーヒーです。 最上静香:席、変えませんか? ここだと外から丸見えだし... 茱莉亚:私は気にしないけど? 最上静香:私は気にします! まだお昼だし...制服のままだし... ジロジロ見られてる気がします。 茱莉亚:堂々としてれば気にするやつなんていないよ〜。 エスケープは初めて?優等生。 最上静香:......誂うなら帰ります!コーヒー代は払います。 茱莉亚:待ちなよ。千早の話はいいのか? 最上静香:あなたみたいな不良とお姉ちゃんが友達だった訳ありませんから。 茱莉亚:友達だった。 いや、友達よりもっと...... チハは、私の相棒だった。 最上静香:あなた...一体... 茱莉亚:私とチハは高校でバンドを組んでたんだ。 Blue/Zealの初代ボーカルはチハだった。 クラスは違ったけと、一番一緒にいた。 時間の許す限り練習したし...ライブだって... 最上静香:ちょっと...ちょっと待ってください! 何言ってるんですか?バンド?私のお姉ちゃんはバンドなんてしてません。 そんな事一言だって... 茱莉亚:知ってる。家族には隠してたんだってな...あんたにも。 最上静香:隠してた?そんな事ある訳ない、 お姉ちゃんはプロのピアニストを目指してたんだですよ。 毎日ピアノの練習で忙しかったし、勉強だってすごくちゃんとして... 茱莉亚:24時間監視してた? 最上静香:そ...そんなこと...してませんけど... お姉ちゃんが事故にあった場所、何で駅の反対側にいたんだろう? とは思ってましたけと.. 茱莉亚:あそこはライブハウスに行く途中なんだ。 最上静香:へ... ... 茱莉亚:あの日、チハはBlue/Zealのライブに出て、歌う予定だった。 その前のコンクールが押して、遅刻しそうになってたかもな。 最上静香:バンドのライブに? じゃ、お姉ちゃんが死んだのはあなたの所為じゃない! しかもなんですか?お姉ちゃんの代わりに私に歌え? よくそんな事が言えますね! だいたい、私じゃお姉ちゃんの代わりにはなりませんから。 私は声楽もやってないし...ピアノだって、全然まだまだで...... 私にはお姉ちゃんみたいな才能なんてないです。 あの日から、姉ちゃんみたいになろうとして、必死で頑張って、 それでも全然追いつけない。 違うんです...私は...お姉ちゃんとは違うんです。 茱莉亚:チハの代わりになれなんて言ってない。 私はあんたの歌に惚れ込んだんだ。 あんたの歌には力がある。 最上静香:適当なこと言わないでください。 私の歌なんて聴いたことないくせに。 茱莉亚:あるよ。 最上静香:嘘ばかり。 茱莉亚:チハのピアノ伴奏でよく歌ってたんだろう?それを聴かせてもらった。 最上静香:は......どうしてあなたがそんなことを...... 帰ります。やばり付いて来るじゃなかった。 これ、コーヒー代。 茱莉亚:静香... 最上静香:気安く呼ばないで! 茱莉亚:違う、これ... 最上静香:なんですか? 茱莉亚:Blue/Zealの凱旋ライブチケット、興味あったら... 最上静香:こんなの貰っても行きませんよ。 茱莉亚:持ててくればいい。 北上丽花:難攻不落って感じですね。 茱莉亚:なあに、気の強い女の子には慣れてるさ。 北上丽花:あら?わるいお姉さん。 ころで、大好物のクリームソーダが溶けちゃってますけど、飲まないですか? 茱莉亚:あ、飲むよ、これから。 北上丽花:飲まないなら、私が貰っちゃいますね〜。 は~シュワシュワっていってます 茱莉亚:いや、飲むってばー。 ほら、吸うなって 北上丽花:あぁ...美味しい〜 茱莉亚:あー!アイスを食べるなよ!楽しみにしてたのに!