追いかけて 九十九里の足跡たどれば 雲霞む 犬吠埼 鳴いている 指輪はずされた 薬指が痛い もう戻らないと知っていたのに なぜ この胸は 今もあなた探し求めてる 責めるよに打ち寄せる 黒潮の轍(わだち) 残り香の部屋の中 出て行くあなたに 背を向けて 意地を張る霜柱 富山颪(とみさんおろし)へと かすんで行く背中 すぐ追いつけたら 二人戻れたのに ささくれた想いだけが 涙へと変わる はばたいた海猫よ どうか叱ってくれ ああ、遠い空の 彼方いるのですか あの時のあたたかさは まぼろしでしょうか またたいた海蛍 今は届かない