ただ辿り行く道しるべ 顧みては郷を想う 幼き吾子とあやされた あのぬくもりを確かめつつ いつか振りほどかれるなら もう近づかぬほうがいい いつかこの地も追われよう ならば愛さぬほうがいい 天岩戸を押し開ける 春の光に白い風 醜き我が身に余るほど 降り注ぐのは罰なのか いつか振りほどかれるとて もう後ろには戻らずに いつかこの地を追われても なお”愛せよ”と声のする 我は此処にて石となる 同胞を護る石となる 宜災いを受けてなお 物言わぬ石に在うべし この災厄に触れたとて 失うがこそ卑しけれ 心より憎むものなれど 母の手に似た慰撫に泣く 我は此処にて石となる 幾千の時刻を越えた先 共に手をとり生きようと その顔を焼き付けて 呪われた血を今日は泣く 失うがこそ悲しいけれ 愛し愛されたいと哭く 鬼の姿に人の夢