音のないウタ 凍(い)てつく薄氷(うすらい)の 窓(まど)の中(なか) かすかに映(うつ)る 幻影(かげ)ひとつ 罅(ひび)割(わ)れて 軋(きし)む歯車(はぐるま)が刻(きざ)む記憶(きおく) 抜(ぬ)けない棘(とげ) 消(き)えない声(こえ) 凍(こお)る痛(いた)み 見上(みあ)げた空(そら) 指(ゆび)をすり抜(ぬ)けてゆく 幾千(いくせん)の白(しろ)い羽(はね) 巡(めぐ)り巡(めぐ)る 季節(きせつ)の風(かぜ) 空(そら)高(たか)く 舞(ま)い上(あ)がれ 廻(まわ)り廻(まわ)る 冬(ふゆ)の欠片(かけら) 僕(ぼく)の上(うえ) 降(ふ)り注(そそ)げ この世界(せかい)を 埋(うず)め尽(つ)くし 虚(うつ)ろに沈殿(しず)みゆく 胸(むね)の底(そこ) 行(ゆ)く先(さき)のない 歪(ひず)みだけ募(つの)らせた 軋(きし)む歯車(はぐるま)が壊(こわ)した月(つき) 癒(い)えない罪(つみ) 終(お)わらぬ夜(よる) 枯(か)れる祈(いの)り 砕(くだ)けた天(そら) 時計(とけい)の針(はり)が心(こころ)を取(と)り残(のこ)して行(ゆ)く 巡(めぐ)り巡(めぐ)る 幻燈(げんとう)の環(わ) 空(そら)高(たか)く 舞(ま)い踊(おど)れ 廻(まわ)り廻(まわ)る 冬(ふゆ)の花(はな)よ 僕(ぼく)の上(うえ) 降(ふ)り積(つ)もれ この想(おも)いも 凍(こお)らせて 耳(みみ)の奥(おく)をうずめてく 音(おと)のない鎮魂歌(ウタ)のように 巡(めぐ)り巡(めぐ)れ 天(てん)の鐘(かね)よ 空(そら)高(たか)く 鳴(な)り響(ひび)け 廻(まわ)り廻(まわ)れ 無垢(むく)の欠片(かけら) 僕(ぼく)の上(うえ) 降(ふ)り注(そそ)げ 巡(めぐ)り巡(めぐ)れ 天(てん)の使者(ししゃ)よ 永遠(えいえん)に 降(ふ)り続(つづ)け 廻(まわ)り廻(まわ)れ 終(つい)の花(はな)よ 僕(ぼく)の上(うえ) 降(ふ)り積(つ)もれ 全(すべ)てを今(いま) 永眠(ねむ)らせて