[00:19.39]8月15日の午後12時半くらいのこと [00:25.64]天気が良い [00:29.10]病気になりそうなほど眩しい日差しの中 [00:34.85]することも無いから君と 駄弁 っていた [00:38.43]「でもまぁ夏は嫌いかな」猫を撫でながら [00:43.73]君はふてぶてしくつぶやいた [00:47.76]あぁ、逃げ出した猫の後を追いかけて [00:53.24]飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機 [00:57.65]バッと通ったトラックが君を轢きずって鳴き叫ぶ [01:02.50]血飛沫の色、君の香りと混ざり合ってむせ返った [01:07.35]嘘みたいな 陽炎 が「嘘じゃないぞ」って 嗤 ってる [01:12.07]夏の水色、かき回すような蝉の 音 に全て 眩 んだ [01:26.41]目を覚ました時計の針が鳴り響くベッドで [01:32.83]今は何時? [01:36.10]8月14日の午前12時過ぎ位を指す [01:42.16]やけに 煩 い蝉の声覚えていた [01:45.27]でもさぁ、少し不思議だな。 [01:49.29]同じ公園で昨日見た夢を思い出した [01:54.40]「もう今日は帰ろうか」道に抜けた時 [02:00.31]周りの人は皆上を見上げ口を開けていた [02:04.54]落下してきた鉄柱が君を貫いて突き刺さる [02:09.46]劈 く悲鳴と風鈴の音が木々の隙間で空廻り [02:14.21]ワザとらしい陽炎が「夢じゃないぞ」って嗤ってる [02:18.86]眩む視界に君の横顔、笑っているような気がした [02:42.67]何度世界が眩んでも陽炎が嗤って奪い去る。 [02:47.46]繰り返して何十年。もうとっくに気が付いていたろ。 [02:52.24]こんなよくある話なら結末はきっと1つだけ。 [02:57.10]繰り返した夏の日の向こう。 [03:01.84]バッと押しのけ飛び込んだ、瞬間トラックにぶち当たる [03:06.69]血飛沫の色、君の瞳と軋む体に乱反射して [03:11.56]文句ありげな陽炎に「ざまぁみろよ」って笑ったら [03:16.35]実によく在る夏の日のこと。 [03:18.86]そんな何かがここで終わった。 [03:30.57]目を覚ました8月14日のベッドの上 [03:36.93]少女はただ [03:40.32]「またダメだったよ」と一人猫を抱きかかえてた