[ti:] [ar:] [al:] [00:00.72]その日は随分と平凡で [00:02.88]当たり障り無い一日だった [00:05.20]暇つぶしに聞いてたラジオから [00:07.45]あの話が流れ出すまでは [00:09.67]「非常に残念なことですが、 [00:11.93]本日地球は終わります」と [00:14.24]どこかの国の大統領が [00:16.51]泣きながら話をするまでは。 [00:46.32]窓の外は大きな鳥たちが [00:48.54]空覆い尽くしてく渋滞中 [00:50.84]三日月を飲み込んで [00:52.51]どこかへと向かってる [00:55.40]やりかけてたゲームはノーセーブ [00:57.62]机にほぼ手つかず参考書 [00:59.93]震える身体をいなす様に [01:02.18]すぐにヘッドフォンをした [01:04.49]不明なアーティスト項目の [01:06.80]タイトル不明のナンバーが [01:09.01]途端に耳元流れ出した [01:11.56]「生き残りたいでしょう?」 [01:13.52]蠢きだす世界会場を [01:15.63]波打つように揺れる摩天楼 [01:18.04]紛れもないこの声はどう聞いても [01:20.53]聞き飽きた自分の声だ [01:22.40]「あの丘を越えたら20秒で [01:24.67]その意味を嫌でも知ることになるよ。 [01:27.32]疑わないで、耳を澄ませたら20秒先へ」 [01:41.98]交差点は当然大渋滞 [01:44.29]もう老若男女は関係ない [01:46.57]怒号やら赤ん坊の泣き声で埋まっていく [01:51.34]暴れだす人 泣き出す少女 [01:53.39]祈りだした神父を追い抜いて [01:55.70]ただ一人目指すのは逆方向 [01:57.91]あの丘の向こうへと [02:00.17]ヘッドフォンから依然声がして [02:02.38]「あと12分だよ」と告げる [02:04.74]このまま全て消え去ってしまうなら [02:07.34]もう術は無いだろう [02:09.06]ざわめき出す悲鳴合唱を [02:11.32]涙目になってかすめる10秒 [02:13.86]疑いたいけど誰がどうやっても [02:16.70]終わらない人類賛歌 [02:18.56]「駆け抜けろ,もう残り1分だ。」 [02:20.87]その言葉ももう聞こえない位に [02:23.54]ただ目指していた丘の向こうは [02:25.89]すぐ目の前に [02:28.87]息も絶え絶えたどり着いたんだ [02:31.18]空を映し出す壁の前に [02:33.48]その向こう白衣の科学者たちは [02:36.11]「素晴らしい」と手を打った [02:37.97]疑うよ。 [02:38.92]そこから見る街の風景は [02:41.38]まるで実験施設の様でさ [02:43.79]「もう不必要だ。」 [02:45.13]科学者は片手間に爆弾を投げた [02:48.25]箱の中の小さな世界で [02:50.47]今までずっと生きてきたんだなと [02:53.08]燃え尽きていく街だったモノを [02:55.68]ただ、呆然と見る耳元で [02:58.10]ヘッドフォンの向こうから [02:59.91]「ごめんね」と声がした