揺らめく木々の隙間に 重なる影の群れ 今ならわからないまま 遠くへ流れていける 手を放しているのは 決めることもないから 目を薄く開けるのは 知らない道を歩きたいから 投げ捨てて 浅く沈む 身を任せ すきまに もろく滑りこむのだ 漕ぎ出した船の流れは 今でもぼやけている 揺らめく木々を仰げば まだ名をもたない虫