[00:23.420]黑衣の羽音を背に [00:27.945]奥行と輪郭を取り戾す街を抜け出した [00:33.867]潰えた者たちが微笑み出し [00:36.017]奪わせた五感にこの胸この四肢 [00:41.256]絡め取られるその前に [00:45.596]切り揃えられた奇跡から抜け落ちてなお [00:48.859]秀でることも劣ることもなくあり続けることを望むが [00:52.084]鏡の前に立ち足元にへばりつかせた溜息は [00:53.500]自らに呼吸する才も意欲もないことを告げていた [01:01.644]野暮な本音は裂け目に任せ [01:03.977]出まかせは見知らねあなたに良しなに [01:06.849]苦渋に満ちた表情など**と駆け落ちさせてしまえばいい [01:13.415]遡行する振りをして [01:16.547]流れ込む常識の坩堝へ [01:19.204]無風に模られる波間 [01:21.674]眼前に広がる体脂肪の海へ [01:26.445]寄る辺ない [01:27.639]されど投げ打つことはない [01:31.949]皆が願うもの [01:34.858]皆から願われること [01:37.483]どちらにもうんざりしているようだ [01:41.297]明日を寝台のそばに置かれ慣れたように零れ落ちる鱗粉 [01:46.843]数多の視線に晒されるうち漏れ出た**は無遠慮な勾配を生む [02:01.476]蠕働する街に注ぎ足されるただ一人には悪意に思える善意 [02:11.527]その動しに爪を立て呪縛を祝福とさせぬように [02:24.657]淡く濡れて落ちぶれた火の酒に見守られ [02:41.091]青白い部屋で覚醒を待つ [02:51.321]都合の良い手にだけ触れられてはいられない [02:54.296]ただ弛まぬ熱に溺れていたいだけ [03:01.867]優しくつぶさにここに居ること告げるなら [03:13.549]永遠にも似た灯に嫌気を [03:29.810]過去を寝台の底へ埋め爆ぜたように散りゆく純真 [03:35.691]願わくはこの顔を濡羽色で塗りつぶせ [03:39.772]持たざる者の悲哀など知るものか [03:44.897]溶けてしまいたい魂が叫んでいる [03:51.204]花装束の香りを払い私は私を好まない私が [04:36.021]何も聞かず 何も見ず [04:46.749]何も感じず なにも